Kero Kero Bonito『Bonito Generation』(2016)
ケロケロボニトはイギリスのバンド。J-POP(特にきゃりーぱみゅぱみゅみたいな可愛い系)やゲーム音楽に影響を受けている……という説明をされることが多い。
メンバーは、ボーカルのサラ(日英ハーフ)、サウンドダクション担当のガスとジェイミー。サラの日本語と英語を交えたゆるいラップとポップサウンドが特徴。
ただ、J-POPの影響が大きいのは1stアルバムの『Bonito Generation』まで。それ以降はマイ・ブラッディ・バレンタインみたいな感じ。インディロック方面にかじを切ってる。
このアルバムはとにかくゆるい。ゆるPOPが心地良い。
評価: 大好き
捨て曲がほとんどない。色をつけてない曲も決して悪くない。このアルバム本当に凄いんだよ!
- Waking Up
- Heard a Song
- Graduation
- Fish Bowl
- Big City
- Break
- Lipslap
- Try Me
- Paintbrush
- Trampoline
- Picture This
- Hey Parents
Waking Up
パワーアップして戻ってきたぜ
無敵のヒーローそれがボニト
ゆるすぎるラップ。サラのかわいい歌声。中毒性のあるポップサウンド。ゲーム音楽・SEの引用。バンドの自己紹介としてはこれ以上ない曲。誰もが毎日のように体験している「起床」を明るく楽しく歌っていてほほえましい。
Graduation
窓の外ばかり見てた
まるとばつだけだったそんな世界にさようなら
一人卒業式 say
一般的に「良いこと」とされている「学歴を積んで高収入の仕事をする」という価値観に対する違和感と、それからの解放が歌われている。
曲調は相変わらずポップなんだけど、どこか淋しげ。サラ加入から4年、おそらく同級生たちとは違う道を歩んできた3人の素直な心境が現れているのかな、と思う。
Big City
I was kind of lonely at first
So I took life in my own hands
Saw a movie, joined a band
And it turned out alright
シンプルにいい曲。都会での暮らしに困惑しながらも、自分なりのやり方で順応していったサラの物語。
"Graduation"とあわせて聞くと、このバンドは「ただ単にゆるいラップが特徴のポップバンド」ではないということがわかってくる。悩みや葛藤にしっかりと向き合い、その上で前向きであろうとする姿勢が基盤にある。その上にゆるラップと中毒性のあるサウンドがある。だから聞くのが楽しい。
Break
Just move very slowly to the beat (a-yo, a-a-yo-o)
Now get down and put up your feet (a-yo, a-a-yo-o)
If you like to lounge, relax, or flop (a-yo, a-a-yo-o)
Doesn't really matter when you're doing squat (a-yo, a-yo)
悩みを暴露する曲のあとで「休もうよ、軽く運動しようよ」というメッセージ。曲としてもホッと一息つくことができる。
Lipslap
やめろ!
一息ついたところでアップテンポな曲。MVがとてもいいのでこれを見てもらえれば。
Trampoline
つまずいて落ちてくことってあるけど
どん底の底の底って何があるか知ってる?
どんどん落ちていくとトランポリンがあるんだよ
突き落とされても大丈夫
手をあげて飛び上がれ!
この曲も前向き。どん底にあるのがトランポリンというのがバンドの世界観と完全にマッチしていてすばらしい。
あいつ深淵覗き込んでたけど、「あれ、底にあるのトランポリンじゃねえ?」と思いつつ覗き込んでたんじゃないかとか、そういうくだらない妄想をかきたててくれるいい曲。